藤堂良門 「7000 Basalt」

アートフロントギャラリー

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10年以上前に単身でヨーロッパに渡りデュッセルドルフを拠点に制作活動を続ける作家の新作個展となる。今回の展覧会のタイトルともなっている作品は、かつてヨーゼフ・ボイスが1982年のドクメンタ7において7000本の樫の木を植え、7000個の玄武岩を置いた「7000 Eichen(7000本の樫の木プロジェクト)」との関係性から考えても興味深い作品であるが、ボイスのように社会との関係性の中で芸術を実践しようとする藤堂というアーティストの作家性もここから見えてくる。

2年前に横浜の神奈川県民ホールギャラリーの「日常/場違い」展で紹介されてはいるが、個展として藤堂の作品をまとめて見ることの出来る機会は少ない。私たちが比較的頻繁に目にする藤堂の作品は石を切り、積層ガラスを間に挟んだ作品群である。作品としても美しいものではあるが、むしろ重要なのはコンセプトであろう。石を選ぶために作家はベルリンやノルマンディー海岸など、歴史の記憶を内封した土地を歩き、石とは異なる表情で物質温度を持ったガラスを挟み自身の造作の形跡を加える。ガラスが入ることによって、表面や形を見るだけでなく、物体として抱え込んでいる歴史を読み解かれるべきものとして私たちの想像力を喚起する。それらの石がひとつの空間に並ぶインスタレーションは、様々な場の力のようなものがせめぎ合う新たな磁場のような作品になるであろう。

また、今回の展覧会では作家が日々書きためたドローイングを日本で始めて展示する他、本の間にガラスをはめ込んだ作品も展示される。これら作品の表紙を見ていると物質感としては違っても石の作品とコンセプトは一貫していることに気づく。世界や思想を語る本の中身がガラスに置き換えられ、ガラスの断面からは文字が透けて見えることもある。一冊一冊を見ていてもそれぞれの重量感を感じさせるが、作家が選び、並べられた本と本の関係性を考えることも世界を読み解くほどの重量感があるであろう。選び取るという作家の行為と、そのものに対する働きかけという作家の作業、また作品として提示されたものから世界を読み解く私たちの行為を通じてものと私たちは美術を通して生の社会と確実に結びついているのである。 

アートフロントギャラリー 近藤俊郎

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スケジュール

2011年05月13日 ~ 2011年06月12日

アーティスト

藤堂良門

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