西尾康之 「エキゾチズム」

山本現代

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西尾康之は〈陰刻鋳造〉と呼ばれる独自の造形手法で知られ、他に幽霊画や襖絵、油絵、インスタレーションなども制作する、メディアを問わない作家です。
 指の軌跡のみによって作られる陰刻鋳造の立体作品は、全長6mの巨大セイラ・マスや、5mの戦艦ミンスクなど、その作業の莫大さが圧倒的な存在感を放ちます。また、身長50m級の巨大な女性がウルトラマンよろしく正義の名の下に街を破壊する〈ジャイアンティス〉シリーズの油彩や、異常ともいえる霊感で幽霊への恐怖から逃れるため描かれた現代の水墨幽霊画など、〈エロス〉や〈タナトス〉に関連する作品を多く発表してきました。西尾の制作テーマには常に明確な内的衝動が存在しており、その多くは死や喪失への恐怖と、生きることへの執着に根ざしています。体験から生まれたトラウマを乗り越えるため、自身の存在に対する不安をセンセーショナルなテーマを通じ作品として昇華させています。
 前回の個展[DROWN]では「水は人命に不可欠な物質でありながら、命を奪う恐ろしい対象でもある」ということを思い出させたスマトラ沖津波に着目し、人類は水棲化することで生き延びられるのではないかと、その過程を希望を持って立体化した作品を発表し、たいへん話題となりました。
 それから3年、今度は日本が未曾有の震災に直面しました。大地震、大津波だけでなく、原発事故による放射能の恐怖が続く世界を生きることとなり、この国の存亡の危機を痛感するなかで西尾が改めて考えたのは、『自分の根源』、『日本人である自分』でした。西洋を文化的中心に据えた概念であるため、通常欧米からみた異国情緒を表すことばとして使われてきた『エキゾチズム』を逆転させ、今まで歴史的優位性により信じて疑うことのなかった西洋古典装飾を再考した立体作品、レリーフを発表いたします。
作品は大きく3つのシリーズに分かれています。まず一つ目に『道具』を拡張身体と考えた作品。実用性を鑑みるとデコラティブな装飾は不便でしかないものをあえてヴィクトリア調にし、そこに発生するギャップを自己愛として殻状に切り出せないかという試みのもと、実物大の自動車の作品を制作します。
 二つ目に祈りを捧げる女性像。参考写真にある(SPACE SHIP-GRAVE MARKER,2011)はG-tokyo, 2010での個展[The Universe]にて発表した作品と同様、「宇宙船」になっています。宇宙の存在が明らかになっていない時代の像をモチーフとしながら、その時代の教育へアイロニーを込めて、また現代において救いを求める先は宇宙なのではないか、という発想のもと制作しました。
 三つ目に、彫刻に時間軸を持たせた半平面立体—レリーフ。日本で歪に発展した『少女漫画』を取り入れ、未知のものへ変換させますが、その行為は「遺跡に見られるような、彫像の生々しさの原点を再認識できた。時間を取り込むことは時間の追従物である生命に通じる。」と語っています。

[画像:西尾康之 「エキゾチズム」(2012) ]

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スケジュール

2012年04月14日 ~ 2012年05月12日

アーティスト

西尾康之

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