西村盛雄 「忘却」

タグチファインアート

poster for 西村盛雄 「忘却」

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今回で6度目となるタグチファインアートでの個展で展示されるのは、「忘却」と題された新しいシリーズからの作品です。これらは、蓮の実をモチーフにした彫刻作品で、西村の中心的な仕事である蓮の葉をモチーフにした「甘露の雨」と同様、積層したベニヤ板の角を落として滑らかな曲線を得る、という独自の方法によって制作されています。
小堀遠州の設計した茶室「忘筌(ぼうせん)」のことが、以前から長いあいだ西村の頭にありました。忘筌は、荘子の「魚ヲ得テ筌ヲ忘ル」という句からとられています。筌は竹篭のような形の魚をとる道具で、魚を取ってしまえば必要がなくなるという意味で「筌を忘れる」。荘子の句は、目標を達成してしまえば、道具の存在を忘れる、という禅の悟りの境地をあらわしたものです。遠州はその晩年に、この洗練しきった茶室を技術も何もすべて忘れて、と言う気持ちを込めて自分のために造ったそうです。
ギリシャ神話の「オデュッセイア」もまた、作家の関心を惹いていました。そのなかにこんな逸話があります。トロイ戦争のきっかけを生んでしまったオデュッセウスは、ポセイドンの怒りに触れ、海をさまよいリビュアというところにたどりつきます。ここの住人はロトス(Lotos)の実を食し、その実を食べると天国を感じ、恍惚として全てを忘れてしまう忘我の境地に落ち入ってしまう。オデッセウスは、上陸に当たって三人の従者を先に送るのですが、三人とも忘我してしまい、結局従者達をやっとの思いで船に連れ戻すはめになる。ロータス(Lotus)の語源は、ここから来ているとされています。
「大徳寺禅と遠州の美と思想」、そして「天国を感じる忘我の境地」、両者が作家のなかで相互にあいまみえたところで、今回の作品が作られています。

メディア

スケジュール

2013年01月12日 ~ 2013年02月09日

アーティスト

西村盛雄

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