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「日本陶磁協会賞受賞作家展」

セイコーハウス銀座ホール
終了しました

アーティスト

前田正博
2010年度日本陶磁協会賞を受賞した陶芸家・前田正博氏は、少年の頃、画家に憧れていた。ところが、大学受験の時には陶芸家志望に変わる。それから40年余、磁器一筋に作陶の道を歩んできた。しかし、この作家の心の中には、いつも変わらぬ芸術家魂が内在しているように思う。前田氏は東京藝術大学大学院修了の頃から一貫して色絵の作品を制作してきた。当初は、恩師の藤本能道氏の影響もあり、「玉ぐすり」と呼ぶ和絵具を用いていたが、重ね塗りの出来る洋絵具に替えたのは、80年代後半の頃。洋絵具を塗り重ね、焼成を繰り返すことによって、独特で深みのある色合いとなり、それまでの日本陶芸にはない独自の表現法となった。

作品の成形は轆轤(ろくろ)で、デッサンは描かず、ぼんやりと頭に浮かんだ模様を半ば即興的に器に描き込んでいく。前田氏にとって模様は心象風景みたいなものだという。だから、その作品は幼い日の記憶のようにどこか懐かしく、それでいて妙にモダンなのである。近年の市松模様にしても日本の伝統文様ではなく、西洋画家のショーン・スカーリーの抽象絵画がヒントになっているそうだ。一見和風に見える彼の作品を、現代建築の洋間に置いても全く違和感がないのは、この作家の本質が元来モダンだからであろう。

今回出品される黒と白のモノトーンの「色絵金銀彩鉢」は、銀彩の格子模様の上に黒色と白色を塗り重ねたもので、内側には金彩が大胆に塗られている。底を面取りし僅かに浮かして、静かで深みのある雰囲気の中に凛とした緊張感を漂わせている。それは、模様と造形が融合しているからであり、まさに前田作品の真骨頂ともいえる。

そんな前田氏の充実した新作をはじめ、日本陶磁協会賞受賞作家展ならではの伝統からオブジェまでの幅広い現代陶芸の作品が一堂に会する本展覧会も、今年で53回目。歴代受賞作家44名の力作とともに、今回は特に東日本大震災からの一日も早い復興を願って、〈心と心を結ぶ“絆”吉祥の器〉をテーマとした作品など100余点が並ぶ。

[画像: 前田正博 「色絵金銀彩鉢」 径34.5×高さ13.5cm ]

スケジュール

2012年1月27日(金)〜2012年2月3日(金)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
年末年始休館
入場料無料
展覧会URLhttp://www.wako.co.jp/exhibitions/285
会場セイコーハウス銀座ホール
https://www.wako.co.jp/exhibitions/
住所〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6F
アクセス東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅B1出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目8番出口より徒歩4分
電話番号03-3562-2111
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