マリオンの作品は一瞬にして観客を世界各地へ誘うパスポートのようです。ポラロイドフィルムによってどこか郷愁の漂う不可思議な時空間に取り込まれた被写体は、現在でも過去でもない、ファンタジックな一瞬として永遠の風景へと転じます。ミニマルな構図で捉えられた空間は、ポラロイド特有のテクスチャーによってフラットな色彩や形態に還元された絵画のようです。写真でありながら物質的なリアリティーが排除された一連の作品は、デジタルカメラでも絵具でも表現することのできない、特有の平面性によって一連の普遍的な情景を紡ぎだします。今展ではマリオンの最新の著作である「From San Francisco to Los Angeles」から小品を中心に大量の作品を一挙に公開いたします。