今展では、名古根美津子のセルフポートレイト「New Self, New to Self」より厳選した作品を展示販売します。道で人とすれ違う時、私たちはちょっと見ただけでその人がどういう人物であるかを判断しようとしてしまいますが、私達は本当に見た目だけで、判断出来るのでしょうか。名古根美津子は、人を評価することが対面のやりとりを制限してしまうことがあると考えています。この考え方を表現するため、彼女は作品の中で、普通に私たちがするような、人の顔からその人のこれまでの人生を読み取ろうとすることを拒否しています。むしろ、もっと可能性のあることを、つまり、これまでの人生や生活から規定される「私が誰か」ということではなく、「私はこうなれるかもしれない」という可能性を追求しようというアプローチをとっています。これらの作品群では、一般的に連想されるセルフポートレイトには欠かせない“顔”を隠した名古根独自の自画像が、優しい色調と、バランス、そして時に奇抜なファッションによってシュールレアリスティックに表現され、観る者は、彼女によって構成された現実であるこれらの写真から、新たに想像された彼女のアイデンティティを探ろうとします。そして彼女は、見た目で人を判断する私たちをからかっているかのようです。