日常や自然のさりげない一瞬を切り取り、やわらかな光と透明感の中に独自の感性があふれる川内氏の作品は、写真集や国内外の展覧会で発表され、高い評価を受けています。本展では、川内氏が新しく撮り下ろした作品による映像インスタレーションを発表いたします。この新作は、グッチの新クリエイティブ ディレクター アレッサンドロ・ミケーレが提示した「とらえどころのない境界を表現する」というクリエイティブ・コンセプトからも共感を得て生まれました。「それは自分が作品をつくるときにいつも目指していることです。せめぎあいの中でしか生まれないもの。今回の展示では、それぞれの持つ記憶も潜在意識ではさまざまなものとつながっていること、そこでひとりの人間が持つ可能性について考えながら作っていきました」と川内氏は語っています。「Let's sing a song our bodies know」展では、ひとりの少女を通して、さまざまな自然現象と東京を始めとするさまざまな場所で撮影したイメージをつなぎ合わせ、複数のモニターを用いた映像インスタレーションと写真作品をご覧いただけます。それは、混沌とした街̶新宿の中心にぽっかりと浮かんだ小さな宇宙空間のようであり、同時に「『もはや』と『いまだ』のあいだ」から生まれる新たなコンテンポラリーを予感させてくれます。