終了した展覧会・イベントです
[画像: © tane project / Koji Yuki]

ダブルス 「間(のめ)」

WAITINGROOM
終了しました
本展は、2人展・グループ展という形式ではなく、キュレーターとアーティストの4名が対話することによって、1つの展覧会を完成させる試みです。今回、居原田は手塚太加丸(1990年屋久島出身)を、大下は結城幸司(1964年釧路出身)をそれぞれ選出しました。
南と北、都市と地方、中央と周縁、伝統と革新。現代社会のこうした二項対立は、私たちに立場の選択を強いることがあります。例えば、書類の提出時に署名を求められとき、はたまた与野党議員選挙の投票。特定の立場を選ぶが故に、語ることのできない事象を前にし、挟み込まれてしまいます。
あらゆる問いを前に「何者であるのか」という答えを求められたとき、自身の生い立ちや文脈のなかに立とうとすると、極端に追いやられる。それは、近代という歴史の立場が、さまざまな問題を抱えたまま、置き去りにしてきた場所のように思えます。しかし、「あいだ」に立ち、そこにまなざしを置くことができるとしたら、そこにある距離すらも、距離のまま「見る」ことが出来るとしたら。私たちはそうした「端」を超え、異なる視座を手にすることが出来るのかもしれません。
展覧会タイトルとした「間(のめ)」(英題:in between gaze)は、「あいだのめ」と読みます。アーティストたちの対話により生まれたこのタイトルは、「間」という字の「日」を「目」に置き換えて書かれる創作文字です。それは、彼らの制作に深く結びついた意味を持っています。
今日における「アーティスト」とは、世界をどのように見て、社会と環境を読み解き、そのなかで自身の生活を築きながら、モノを作り、芸術活動とするのでしょうか。
手塚太加丸は屋久島で生まれ育ちました。大学を卒業した後、手塚は沖縄県にて、施工と内装を仕事としながら、仲間たちと共同生活を営んでいます。また年に一度、自然豊かな故郷の屋久島・白川山に「かえり」、生活を捉え直しながら、「いえ」という生活空間を作るプロジェクト、「しらこがえり」を続けています。また時折、日本各地を移動しつつ、あらゆる空間の内装を手がけています。これがアーティスト、手塚の生活であり、営みです。沖縄や屋久島、様々な場所を行き来しながら、そこに居る人々にあわせ、土地に向き合い、作り続けています。
結城幸司は釧路出身、札幌在住の版画家、アーティストでアイヌ民族の出身です。日本の先住民族であるアイヌの世界観を、独特の「語り」を持って版画という形で表現します。結城は民族解放運動の旗手であった父に反発し、かつてはアイヌ民族ということを避けて暮らしていましたが、アイヌの伝統的な丸木舟の復元に立ち会うことが転機となり、活動を開始します。彼は、自分の関わったその「舟」が博物館の展示品として制作されたために、ただの一度も海に出ることなく収蔵された事にショックを受け、自身のエスニック・アイデンティティと向き合うことになったと言います。アイヌの「伝統」には本来、版画も、ヴィジュアルアートとしての絵画もありません。故に彼の活動は伝統もしくは正当性を強く志向する他のアイヌからも批判されてきました。では一体、彼の活動とは何か。「しまわれる舟」とは別の在り方で、結城自身の作家としてのアイデンティティと、アイヌとしてのそれが、版木に刻まれています。
本展では手塚太加丸、結城幸司ともに新作を発表いたします。

スケジュール

2016年9月10日(土)〜2016年10月9日(日)

開館情報

時間
12:0019:00
日曜日は17:00まで
休館日
月曜日、火曜日、祝日
備考
開館時間: 月 17:00~23:00、木・金・土 12:00~19:00、日 12:00~18:00

オープニングパーティー 2016年9月10日(土) 18:00 から 21:00 まで

入場料無料
会場WAITINGROOM
http://waitingroom.jp/
住所〒112-0005 東京都文京区水道2-14-2 1F
アクセス東京メトロ有楽町線江戸川橋駅4番出口より徒歩3分、東京メトロ東西線神楽坂駅1番出口より徒歩9分、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅より徒歩13分
電話番号03-6304-1877
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