小林耕平 「あくび・指南」

山本現代

poster for 小林耕平 「あくび・指南」
[画像: 『あくび・指南』イメージドローイング、2018、紙に墨]

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オブジェクトやドローイングとテキストが相互に影響し合う軽妙なインスタレーションと、パフォーマンスや対話の 様子を記録した映像作品を構成し、会場全体を通して能動的な鑑賞を誘う作品で知られる小林は、近年では豊田市美術館や韓国国立現代美術館に作品が収蔵されるなど、国内外で高く評価されています。 本展では、東西に古くから伝わる寓話などから着想を得た新作のオブジェクト数点と、それらを小林とデモンストレーターが鑑賞した際の対話の記録を映像化した作品三点を合わせて発表いたします。「物(オブジェクトやドローイング)や出来事(映像)を寓話の構造を借りながら鑑賞する方法を探る」、「既存の寓話を解体し、新たな寓話としての物や事を展示空間で起こす」ことをテーマに、寓話で示されるような教訓や秩序から解放され、全く新しい視点を得る展示を試みます。 今回、映像作品として発表される対話型の鑑賞記録では、『あくび指南』という古典落語の筋が参照されています。この噺は、江戸に私塾として開かれた“あくび指南所”に興味本位で出かけて行った主人公とその連れ、そして指南所の師匠の三者間で交わされる会話で成り立っています。そもそも“あくびを指南する”ことの胡散臭さと可笑しさに加え、退屈な師匠の講釈、上手くあくびができないと四苦八苦する主人公とのやりとりに、最後には連れの男が大あくびをかいてしまい、それを師匠がおおいに褒める...(あるいは思わずあくびをしてしまった鑑賞者が唐突に褒められる)というオチがつくというもので、多くの落語家に愛され、語り継がれてきた名演目でもあります。また本展をイメージしたドローイングは、ロシアの作家イヴァン・クルイロフの寓話『白鳥と川魳(かわかます)と蝦(えび)』1を元に描かれたものです。白鳥と蝦と川魳が、荷物を積んだ荷車の運搬を引き受け、三匹が一緒に荷車につけられた。死に物狂いで引っ張っても荷車はびくともしない。積荷は彼らには軽いはずなのに。白鳥は雲に向かって飛び立とうとし、蝦はあとずさりし、川魳は水に引きずり込もうとする。彼らのうち誰がまちがっていて、誰が正しいのかはわれわれには判断はつかない。 しかし、荷車だけはまだこそに止まっている。このように、古今東西で語られる寓話には“教訓”や“モラル(秩序)”が暗示されているのに対し、落語では教訓めいたものが提示されず、「鑑賞者が秩序の外へ放り出される感じ」がすると小林は言います。イメージドローイングでは、クルイロフの寓話の三匹を、落語『あくび指南』の登場人物三人に置き換え、あくびを指南する白鳥、あくびの練習をする蝦、それを見て涙をこぼしながら大あくびをする川魳として描いています。元の寓話から大きく離れ、全く新しい場面として生まれ変わっているというのに、私たちは違和感を抱くことなく、小林に誘われるままに別の物語を読み取ろうとしていることに気付きます。これまでも小林は、固定観念を軽々と超える視線を誘発するような作品を鑑賞者に示してきました。今展ではさらに、「異なる秩序が部分的にでも“置き換わる”ことで、体系が崩れてしまったり、または新たな秩序が形成されたり、両局面あることが重要だ」との考察から、モノ/行為/言語の認識をめぐって生まれるものの可能性をさらに深く探る展 示となります。

メディア

スケジュール

2018年04月21日 ~ 2018年05月26日

オープニングパーティー 2018年04月21日18:00 から 20:00 まで

アーティスト

小林耕平

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