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幸田千依 「より道の灯」

LOKO GALLERY
終了しました

アーティスト

幸田千依
国内外各地のレジデンスプログラムへの参加を軸にした活動や、2017年のVOCA賞受賞などでも注目を集めてきた幸田は、近年その制作のモードにさまざまな変化を見せています。彼女の作品の特徴の1つに、多数の視点が1枚の絵画上で統合される点が挙げられます。幸田が描く景色や人物の多くは実際に彼女がその目に映してきたものですが、1つの画面上に1つの瞬間だけが描かれる、ということはあまりありません。たとえばかつてプール監視員のアルバイトを務めていた頃、長いあいだ彼女の網膜に焼き付いていたのは、水中を移動する群衆とそれに伴って発生する渦巻きの様子でした。彼女はそのモティーフをたびたび画中で取り上げてきましたが、それらの作品のいくつかにはその時々で記憶に残った山や森などの別の光景、あるいは政治デモやインターネットといった社会的要素が加えられています。異なる時空間に紐付いた複数の視点たちは、幸田の確かな実感のもとに合成されることで新しい美しさや奇妙さを湛え、絵画上にしか存在しえない “プール” の光景を私たちに提示してきました。近年の幸田は、視点の複数性という特性を保ちながら、より広範な視野を絵画上で展開する傾向にあるといえます。太陽や空が支配する遠景、小さな家や道の密集=街並みからなる中景、そして自らの視座の存在を示すかのように草木が繁茂する近景。これらが1つの画面上で統合された作品群は、一見すると平穏な風景画のように見えるかもしれません。しかしこれらの作画過程で幸田は、単に印象深かった風景を組み合わせるのではなく、自らの視線、さらに言えば眼が動いていく際の個人の “癖” のようなものを自覚することを常に強く意識してきました。そしてそれは絵の描き方への自覚、加えて自らの人間性や思考、社会的な立ち位置の自覚へと敷衍されていきます。その上で幸田は、今見ることのできる景色のあらゆる要素に---良きものにも、好ましくないものにも---“なんらかの視線” を注ぐような制作を目指してきました。彼女の絵画の中では、遠景でも近景でも、全てのものに均質的な色と形のバランスが与えられています。ここで端的に示されているのは、自らの移ろう視点や自分を取り巻くあらゆる要素を画面上で調和させ、1つの光のもとで肯定する、という意志です。いわば画中の主役を明示しないその筆触の均質性は、鑑賞者に自分自身の視点で絵の中を歩き回ることを促し、絵画と対峙する自らの視座を自覚させる機能をも有しているでしょう。こうしたさまざまなインタラクティブな作用を経て、幸田の絵画はさらなる複層的な視点を獲得していきます。本展では、これまで地方でのレジデンスを中心に活動してきた幸田にとっては珍しい「渋谷でのレジデンス」という経験と、そこで遭遇した “小さな夕方の冒険” をもとに生み出された1枚を含む最新作品群、そして現在に至る視野の変化が読み取れる過去作品群を同時に展覧いたします。印象派やキュビズム、あるいはシュルレアリスムといった近現代絵画の血脈を感じさせつつ、自らの現代的 / 現在的な “生” そのものを着実に絵画化していくかのような幸田千依のダイナミックな作品群をお楽しみください。

スケジュール

2018年6月22日(金)〜2018年7月28日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
日曜日は12:00〜18:00
休館日
月曜日、火曜日、祝日
備考
日曜日・月曜日・祝日は休廊

オープニングパーティー 2018年6月22日(金) 18:00 から 20:00 まで

19:00頃より53235による弾き語りライブを開催

入場料無料
展覧会URLhttp://lokogallery.com/light-of-detour/
会場LOKO GALLERY
http://lokogallery.com/
住所〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町12-6
アクセス東急東横線代官山駅北口より徒歩7分、JR渋谷駅南口より徒歩10分
電話番号03-6455-1376
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