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加納俊輔 「ピンク・シャドウ」

Maki Fine Arts
終了しました

アーティスト

加納俊輔
「layerあるいはlayers」。加納俊輔の近年のシリーズ名《layer of my labor》。英語は冷淡に単数、複数を問うため、事態の積層があるならlayerにsを付けるべきではないかと、筆者は老婆心ながら告げてみた。加納の応答の際のためらいは、sを付けた瞬間に、見る者がそこに何層あるのかを見極めようとする、そのイメージに対する加算的な態度を忌避したい思いから来ているように思えた。撮影 - 出力 - 撮影を繰り返したところで、積層された事態も最終的に獲得される写真の像、そしてその出力はペラペラで全き単数の層でしかないのだ。加納は今回、「表面は間である」という基本概念を生涯のテーマとした作家井田照一の作品、殊に《Lotus Sutra》のシリーズに大きく触発されたという。紙という水平面に垂直に作動し生成する版によるイメージ。思えばlotus(蓮)の葉の水平面とSutra(経)というタテ=垂直の出会いは、井田の基本概念の一様態でもあるだろう。加納は着目したのはこのシリーズにおいて認められる、紙の裏からの刷りだという。紙の上に刷られたイメージは紙と版との「間」で生成する表面だとするのが井田の基本概念だが、そこに紙の裏側でも起きている表面の生成が加わることは、「間」の積層であり、「表面」の積層でもある。加納の近作では、紙の裏から像を透過する撮影という手順を施し、裏側からの作業という層が加えられているという。井田の場合は、見る者が裏にも層があると認識できるか否かに拘わらず、見ている像が「間」の積層という事態に支えられていることが重要であったに違いない。だが加納は井田に敬意を払いつつも、「表面は表面である」と言わんばかりに最後のイメージにおいて易々とsを取り去るのである。

スケジュール

2018年10月26日(金)〜2018年11月25日(日)

開館情報

時間
12:0019:00
日曜日は17:00まで
休館日
月曜日、火曜日

オープニングパーティー 2018年10月26日(金) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttp://www.makifinearts.com/jp/exhibitions/kano2018.html
会場Maki Fine Arts
http://www.makifinearts.com/jp/
住所〒162-0808 東京都新宿区天神町77-5 ラスティックビルB101
アクセス東京メトロ東西線神楽坂駅2番出口より徒歩4分、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅2番出口より徒歩6分、都営大江戸線牛込神楽坂駅A1出口より徒歩13分
電話番号03-5579-2086
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