「SLAP it Project 展覧会 vol.4 上村洋一 『Aquatic Garden』」

iti SETOUCHI
10月27日終了

アーティスト

上村洋一
Setouchi L-Art Projectは、上村洋一氏による個展「Aquatic Garden」を、4月27日〜10月27日の会期で、iti SETOUCHI内のコワーキングスペースtovioで開催します。

本展では、上村がこれまでライフワークとして取り組んできた、水や氷のフィールドレコーディングにまつわるアートワークに着目します。上村はフィールドレコーディングを「瞑想的な狩猟」と名付け、人間と自然との内的で精神的な繋がりを探求し、近年は地球温暖化の影響を受けている北海道知床のオホーツク海の流氷やフィンランドの太古氷河の痕跡、アイスランドの氷河、アマゾン熱帯雨林などのリサーチを元に制作を行っています。

「Aquatic Garden」では、上村が世界各地の水辺で取り組んできた内容に加えて瀬戸内海で録音したサウンドを組み合わせた、新作のサウンドスケープ(音景)が展開されます。また会期中も旅先で新たに録音されたサウンドが福山に送られ、サウンドスケープは更新されていきます。​​会場内には上村が世界各地の旅先で見た風景を水彩で描いたドローイング作品や、知床の流氷や瀬戸内海の島々が想起される陶器の立体作品なども展示し、会場全体を満たすサウンドスケープと呼応するかのように作品が介在する「Aquatic Garden(水上の庭)」とも呼ぶべき想像上の空間が創出されます。

会期中には、ライブ・コンサートに加えてトークイベントを開催し、上村のパフォーマンスとアートワークを共有する機会を設けます。また、ワークショップでは、本展に際して上村がフィールドレコーディングを行った鞆の浦で、サウンドを通じて日常に対する知覚の在り方を見直します。

展覧会を開催する広島県福山市は、古来から港町として栄えた場所です。瀬戸内海の海流は、沼隈半島の先端に位置する鞆の浦を境にして潮の流れが逆転し、帆船での沿岸航海が主流の時代には、鞆の浦で潮流が変わるのを待たなければなりませんでした。「潮待ちの港」と呼ばれた福山は、遠く北海道や北陸から物資を運搬する商船が出入りするようになり、江戸時代には朝鮮通信使やオランダ商館長の一行が入港するなど国際都市の一面ものぞかせました。このように福山は瀬戸内を東西に繋ぐ場所であり、日本全国を繋ぐ場所、また日本と世界が繋がる交流の場所であったのです。

海は国境によって隔てられず、地球全体を繋いでいます。そして、水という物質は常に流動的で、循環しています。上村が世界各地の水辺の環境と瀬戸内海をサウンドによって接続して立ち上げようとするビジョン「Aquatic Garden(水上の庭)」は、この地球に広がる私たちの世界のアナロジカルな箱庭(アーキペラゴ)であるかもしれません。旅を続ける上村の軌跡を通して、私たちの生の環境そのものを見つめることは、現代アートのイマジネーションの可能性を再考する契機になるでしょう。

瀬戸内の文脈に根ざしながらアートプログラムを展開する、SLAPの新たな試みにぜひご着目ください。

スケジュール

開催中

2024年4月27日(土)〜2024年10月27日(日)あと177日

開館情報

時間
10:0018:30
備考
会場のコワーキングスペースtovioでは本プログラム以外のイベントも不定期で開催され、イベント中はサウンド作品を一部鑑賞いただけません。詳細はtovioのインスタグラムもしくはSLAPのインスタグラム・ウェブサイトでご確認ください。
入場料550円(各種イベントは別途有料)
展覧会URLhttps://slap.works/it-project-vol-4/
会場iti SETOUCHI
https://iti-setouchi.com
住所〒720-0067 広島県福山市西町1-1-1 1F
アクセスJR山陽本線福山駅南口より徒歩7分
電話番号084-959-3481
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