徳冨満 「plus, minus, infinity」

展示室の中央には、二層がそれぞれグラデーション状に彩色されたプラスチック性の大きなメビウスの輪があり、それを取り囲むようにして置かれた10個の低い展示台の上には、脱ぎ捨てられた黒い靴下がひと組づつ置かれている。この印象的な配置は、キュレーターの東谷隆司により決定されたものだ。作家は2001年に逝った徳冨満である。

poster for Mitsuru Tokutomi

徳冨満 「plus, minus, infinity」

にある
小山登美夫ギャラリーにて
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メビウスの輪は、よく知られているように裏表といった区別がなく、無限を表す形状である。靴下には銀河のマークがワンポイント刺繍されており、地色の黒は言わば宇宙空間としても捉えることができるだろう。人が日常的には意識することのない、ダイナミックな存在や概念を取り込んだ2つの作品が持つ仕掛けはささやかなものであるが、そこから放たれる空気感はギャラリー全体を満たしているように感じられた。壁面にも、「+(プラス)」ねじと「-(マイナス)」ねじに並べて突き刺された特注の「∞(無限大)」ねじや、平衡感覚を狂わせるような描き方をされた絵画など、我々の思考を深く刺激する作品が並ぶ。

不在の作家の意思と、作品そのものではなくその外部にまで意識される確かな「作品的」世界が、見事に実現されている展覧会である。

尚、展覧会場で閲覧可能なシートや販売されているカタログには、この展示をより深く楽しむことのできる手がかり、例えば上で述べたメビウスの輪と靴下の配置の驚くべき決定方法などが掲載されているので、ぜひ手にとっていただきたい。

Makoto Hashimoto

Makoto Hashimoto. 1981年東京都生まれ。横浜国立大学マルチメディア文化課程卒業。ギャラリー勤務を経て、フリーのアートプロデューサーとして活動している。主な企画展にReading Room (BankART Studio NYK/2005年)、都市との対話(BankART Studio NYK/2007年)、The House「気配の部屋」(日本ホームズ住宅展示場/2008年)など。2006年11月より横浜ベイクォーター内 「ギャラリーBOX」の作品展示をP3 art and environmentの芹沢高志と共に企画・制作。また、TABの他にポータルサイト「AllAbout アート・美術展」 「REALTOKYO」、雑誌「BT/美術手帖」「ARTiT」「美術の窓」などでもアート関連記事を執筆している。 展覧会のお知らせや業務依頼はhashimoto[AT]diacity.netまでお気軽にどうぞ。 ≫ 他の記事

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