公開日:2007年6月18日

混沌から踊り出る星たち 2006

今年で6回目/6年目を迎える京都造形芸術大学の<混沌から踊り出る星たち>展はユニークな試みだ。卒業制作展の「選抜展」の位置づけだと考えても良いだろうが、大学の卒業生で現在活躍するアーティストも招待し、ひとつの展覧会として企画されている。

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2004年からは芸術表現・アートプロデュース学科の在校生が企画・制作を行い、東京会場での巡回展も見ることができるようになった。

今年のゲストアーティストは「身につけるグラフィック」として独特の平面デザインを衣裳などに展開する中田泉と、日本画を現代の視点で描く山本太郎、クラブからメジャーシーンまで幅広い活動を行うミュージシャンのrei harakami。

スパイラルの気持ちよく吹きぬけたアトリウム空間には、山本太郎の大きな屏風型作品がどっしりと数点待ち構え、宙には中田泉のグラフィツクを纏ったモデルの姿が大きな懸垂幕となって浮いている。音を使った作品が少ないので、BGMとして流れているrei harakamiの音楽も嫌味がない。

選抜作品で印象に残ったのは、線画の描かれた透明な板をレイヤー状に重ねて、複雑な立体イメージをつくり出していた金田良や、無数の穴が網状にあけられた黒い紙をライティングしたインスタレーションで、できあがる影との複合イメージも効果的だった下森明香など。

大学周りの手厚いサポートがあるとはいえ、この手の企画としては完成度が高く独自性もあるので必見だ。

Makoto Hashimoto

Makoto Hashimoto

1981年東京都生まれ。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程卒業。 ギャラリー勤務を経て、2005年よりフリーのアートプロデューサーとして活動をはじめる。2009〜2012年、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)にて「<a href="http://www.bh-project.jp/artpoint/">東京アートポイント計画</a>」の立ち上げを担当。都内のまちなかを舞台にした官民恊働型文化事業の推進や、アートプロジェクトの担い手育成に努める。 2012年より再びフリーのアートプロデューサーとして、様々なプロジェクトのプロデュースや企画制作、ツール(ウェブサイト、印刷物等)のディレクションを手がけている。「<a href="http://tarl.jp">Tokyo Art Research Lab</a>」事務局長/コーディネーター。 主な企画に<a href="http://diacity.net/">都市との対話</a>(BankART Studio NYK/2007)、<a href="http://thehouse.exblog.jp/">The House「気配の部屋」</a>(日本ホームズ住宅展示場/2008)、<a href="http://creativeaction.jp/">KOTOBUKIクリエイティブアクション</a>(横浜・寿町エリア/2008~)など。 共著に「キュレーターになる!」(フィルムアート/2009)、「アートプラットフォーム」(美学出版/2010)、「これからのアートマネジメント」(フィルムアート/2011)など。 TABやポータルサイト 「REALTOKYO」「ARTiT」、雑誌「BT/美術手帖」「美術の窓」などでの執筆経験もあり。 展覧会のお知らせや業務依頼はhashimon0413[AT]gmail.comまでお気軽にどうぞ。 <a href="http://www.art-it.asia/u/hashimon/">[ブログ]</a>