山口蓬春記念館日本画家・山口蓬春(1893-1971)が、東京美術学校(現:東京藝術大学)日本画科を卒業したのは大正12年(1923)のことです。在学中、奈良京都へ行く機会のあった蓬春でしたが、歴史的背景をもつ同地の風物に心惹かれ、卒業制作では《洛南之巻六題》を描いています。その後も近畿地方などへ出向いて取材し、大正15年(1926)の第7回帝展では《三熊野の那智のやま山》が特選と帝国美術院賞を受賞、さらに皇室買い上げの栄誉に輝いています。また同年には生涯の伴侶となる春子夫人とも結婚、順風満帆に昭和という新時代を迎えています。昭和6年(1931)には朝鮮を訪れたほか、台湾や中国など外地へも足を運ぶ機会があり、現地を取材し作品を制作しました。
大正から昭和初期の日本は旅行の大衆化が急速に進んだ時期でもあり、国際的にも海外旅行がブームとなりました。鉄道省も昭和5年(1930)に国際観光局を創設、国際親善や観光産業の振興のため外国人観光客誘致を積極的に行っています。同局の海外向けのポスターや絵葉書などの宣伝印刷物には当時活躍していた画家などが描いた日本の風光明媚な観光地が用いられ、多くの日本画家がかかわり蓬春もその一人でした。
大正15年(1926)12月、葉山御用邸にて大正天皇は崩御され昭和天皇が即位されました。葉山は昭和発祥の地ともいえます。蓬春は昭和22年(1947)から葉山に移り住み、明るく温暖な葉山の地をこよなく愛しました。令和8年(2026)は昭和が始まってからちょうど100年にあたる節目の年でもあります。本展では、旅という視点で大正から昭和にかけての蓬春の画業をあらためて振り返るものです。
前期:11月22日(土)~12月27日(土)
後期:1月4日(日)~1月25日(日)
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