星と森の詩美術館繊細かつ華麗な彩りで独自の幻想世界を創りあげた木版画家 中山正(1927-2014:新潟県南魚沼郡石打村〔現 南魚沼市〕出身)の没後10年の展覧会を開催いたします。
終戦直後の1946年、中山は画家になることを決意して上京します。多摩美術学校〔現 多摩美術大学〕油絵科は2年で中退しましたが、1950年代初頭には木版画制作を始め、その後「日本版画運動協会」(1949年結成)の会員となっています。
中山の版画作品には数点の例外を除き、少女・馬・蝶・花のいずれかのモチーフが入っています。少女と馬についていえば、1960年までは風のなかに立つ姿を実在感をもって描かれていますが、1961年以降は中山の理想とするプロポーションに整えられたうえでポーズを取り、画面のなかで独特の存在感を放つようになります。そこでは少女・馬そのものではなく、中山が創り出した幻想世界を表出するモニュメントとして出現しています。その姿が、イコン(聖画像)に準えられる所以ともいえます。
中山は30代半ばで渡欧した折、ヨーロッパ美術の濃密な歴史に圧倒されるなかで「いったい私は誰なのか、何なのか、と突き上げられる思いで、激しく自己のアイデンティティについて迫られたとき、それを探し究めることこそ、私の生涯の仕事ではないか…と自覚するようになりました」と後述しています。
今回、個人コレクターからご協力をいただき約50点の作品を展覧いたします。中山が生涯にわたりその仕事を貫いたことは、今展をご覧いただければより明確になることでしょう。
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