unseal contemporary「筆によって塗られる絵の具の色面は、その毛足の巾、長さ、はたまた、塗るスピードにより面積を規定される。「あたりまえのことじゃん!」そんな声が聞こえて来そうだが、このもっとも絵画的な行為をそのまま、作風にしているのが、根本有華さんだ。
絵の具の跡を残さず、いかにフラット、または、写実的な画面にするか、四苦八苦している作家を尻目に、根本さんは、軽快に、奔放に、キャンバス上で筆のクルージングをたのしむ。かつて、現代美術の実験を率先して行って来て、現在は、『路上観察学会』や『老人力』などで、形骸化したアートに、スパイスの効いたジャブを撃ち続けている赤瀬川源平氏も、その著書で、シンプルに白いキャンバスに筆を走らせる行為の気持ちよさを述べている。コンピュータ・グラフィックがどんなに発達しようとも、誰でもが、体感出来、夢中になれる、この原初的な"ここちよさ"は、廃れるものではないだろう。第132回直木賞を獲得した、角田光代さんの「対岸の彼女」の装画を最近、手掛けているが、タイトルと、2人の人物とのコンビネーションにより、ほとんど抽象的な画面が、急に具体的な風景として立ち現れる。サーフィンする筆跡が作る "抽象画ギリギリの風景画""具象""抽象"の定義がほとんど意味をなさなくなった今日、あえて、彼女の絵をことばにしてみた。」
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