足利市立美術館1930年代は、写真を多用したグラフィックな表現の時代といわれています。奇抜なレイアウトやフォトモンタージュによって写真のもつ表現力が世界的に大きく注目され、グラフ雑誌や博覧会展示に登場したのです。ドイツに学んだ写真家・名取洋之助(1910‐62)は、こうした欧米の最先端の潮流を日本にもたらし、1933年、写真とデザインの制作工房、「日本工房」を結成しました。ここには、土門拳や河野鷹思、亀倉雄策などの若き写真家、デザイナーが結集し、対外グラフ雑誌『NIPPON』を刊行しました。この雑誌は英独仏西の4か国語で書かれ、第二次世界大戦前の日本の印刷物では最高峰をいくものといわれてきましたが、ほとんど海外に頒布されたため、長らく幻のグラフ誌とよばれていました。
この展覧会は、『NIPPON』を軸に、報道写真とグラフィック・デザインの両面にわたり新生面を拓いた名取洋之助と日本工房の知られざる全貌を明らかにする、初めての大規模な展覧会です。新発見を多数含む400余点の雑誌、印刷物、作品資料などにより、激動の時代に生きた若い写真家、デザイナーたちの青春群像をみつめます。
ギャラリートーク:当館学芸員による
10月21日(土)14:00~
10月28日(土)14:00~
ギャラリートーク:専門家を招いて
11月19日(日)14:00~
講師:堀宜雄(福島県立美術館学芸員)