アート・ラボ・トーキョー本展は森下泰輔が本格的に取り組むエコアート(環境問題芸術)だ。
永年スタジオにしてきた中銀カプセルタワービルの作家の部屋に高濃度のアスベストがみつかるという被害にあった。作家は環境問題を訴えて昨年「キラー・アスベスト」展を開催した。それに対する設計者の黒川紀章氏の対応は、作家が故意にアスベストを降らせてわざと有害にして測定した結果だという事実無根の信じられないものだった。
また、この中銀カプセルタワーは住民総会ですでに解体・建替えが決定しているが、実際に銀座の地で解体するとなれば使われている大量のアスベストがまうのは必至であり地域住民を危険にさらす可能性もあるうえに、アスベストを処置するのに多額の財源が必要になる。そこで、作家は今回「黒川紀章マンション移築計画」なる個展をギャラリー銀座芸術研究所で行うことにした。同建築が戦後の代表作なら公すなわち国(文化庁など)が、移築して保存すべきだという趣旨のプロジェクトである。元来がメタボリズム(代謝)の建築として考えられたのであるからカプセルは容易に着脱でき移送も簡便だ。場所は、そもそもメタボリズムの実験場となった大阪・万博公園が適当だろうと考えた。太陽の塔のお隣の「上の広場」休憩所のあたりに高度成長期のモニュメントとして移築するのがふさわしいと思う。今回の個展ではその具体的プランをインスタレーション展示し、公的機関や建築界にパブリシティする。
また、同時に全国の有害アスベストを採取し、それを樹脂で固めるなど無害化したうえでアスベストによる巨大彫刻「アスベストンちん」を制作し、万博広場に設置するプランを提唱する。「人類の進歩と調和」が、物質文明特有の汚染にさらされた歴史をモニュメント化し、二度と国が環境政策でミスを起こさないための戒めとするのはいかがだろう。
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