太田記念美術館アーティスト
葛飾応為、歌川広重、鳥居清長、歌川国貞、小林清親、川瀬巴水 他
夜景は浮世絵の題材として多く取り上げられてきました。日本人は古くから昼夜の景観の変化を意識的に捉えており、和歌にもしばしば詠まれています。また、近世に入ると夜間照明が庶民の間でも手軽に用いられるようになり、夜も明るく過ごせるようになりました。夜間照明の発達によって闇への恐怖が薄らいだことで、夜を楽しむ余裕も生まれ、夜桜や花火、蛍狩、月見といった夜の行楽の隆盛へとつながってゆきます。まず本展では、こうした行楽や江戸の夜の日常風景、そして旅の夜景を題材とした、清長、国貞、北斎、広重、国芳らの描いた浮世絵を紹介いたします。これら江戸の絵師の大半は、夜景を描きながらも家や人などの対象物を昼間のように鮮明にあらわしています。
明治以降に西洋式ガス灯が輸入され、真昼のように明るい光源を手に入れることができるようになると、夜景の表現も変化してゆきます。小林清親や川瀬巴水に代表される絵師や画家は、ネオン輝く東京の夜景を浮世絵や版画作品に描きました。これらは、明暗をはっきりと対比させた実景に近い夜景が描かれています。
本展では江戸から近代にかけての浮世絵ならびに版画作品約70点を紹介し、江戸の人々が夜をどのように過ごしたか、また江戸と明治以降では夜景の表現がどのように変化したのか辿ってゆきます。長い夜を迎える冬のひととき、展覧会場で昔日の夜景の情趣をお楽しみください。
[画像: 鳥居清長 「真崎の月見」]
まだコメントはありません