アート・&・リバー・バンク小松恵之の新作は、グループでのパフォーマンスを記録したユニークなドキュメンタリーのヴィデオを中心としたインスタレーションです。会場を、まるで映像のなかの世界のように仕立てることによって、わたしたちは、彼の映像のただなかに放り込まれることになります。そしてやがて、ガサガサ、ゴソゴソと、自身の周囲を取り巻く異様な光景に気づくことになるはずです。果たしてそこは戦場なのか、趣味の悪いエンタテイメント施設なのか、はたまた、わたしたち自身が日々そこで生活している日常なのか。わたしたちは、彼の映像に視線を送り続けながら、呆然と立ち尽くすことになります。
小松の作品のモチーフとなるパフォーマンスは、小松もメンバーの一人であるグループ、ソラシラズの企画したものです。何人かの固定メンバーに加え、パフォーマンスのたびに参加者を募るというスタイルで続けられる、目的も定かでないパフォーマンス。小松の作品は、本質的にはパフォーマンス自体とは別のものと位置づけられていますが、彼の手で蓄積されていくパフォーマンスの記録は、アーカイヴ的な性格も帯び始めることになります。小松の作品の背後に立ち上る、膨大な量のパフォーマンスの濃密な気配。小松の作品は、そのとき、ひとりの自由のアーティストとしてのそれから、どこかユートピア的な集団のものであるかのように幻覚されることになります。つかみどころのない彼の作品は、さらにするすると逃れ去り、遠ざかっていくことになります。
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