小山登美夫ギャラリー六本木工藤麻紀子の絵画には、日常生活の中で出会ったごく身近なものが、不思議な心象風景として描かれています。女の子、木々や草花、小動物たちなどのモチーフ一つ一つは、彼女自身の小さな仲間たちとも言える、身の回りの繊細で親密な存在ばかりですが、それらが一転、ダイナミックな筆致で描き出される世界の中で、力強く浮かび上がります。いくつものパースが混在する平面は、奥行きが塗りつぶされ、鮮やかな色彩が交差するカオティックな躍動感を与えています。大胆な構図とバランスのとれた色彩感覚を通して、個人の記憶の中から解き放たれたモチーフたちは、大きな感情のうねりを伴って、私たち鑑賞者の胸に迫ってきます。
「友達がヒマラヤに行く、という話を聞いて、今回は遠い場所のことを考えながら描いていたかもしれない」と語る工藤の新作には、まだ見たことのないはずの土地で自分がよく知っているものに出会うような、夢を見ているような感覚が溢れています。
『きいてみたい』と題された作品では、草原に寝そべった二人の女の子の背景に、青青とした空を背負った、山のような暗闇のような漆黒の空間が広がっています。『動物の骨でできている』は、雲のような水のような紫色に覆われた空間を、椅子に乗った女の子が漂流していきます。以前、美術館で見かけた椅子がまるで動物の骨でできているようだった、という一つの記憶が、いくつもの記憶と結びついて、見たことの無いイマジネーションの世界へと結実します。
本展では、3mを越える大作を含む、新作絵画約10点を展示する予定です。
<オープニングレセプション> 9月1日(土)18:00~20:00
"きりかぶごめん Sorry, Stump" oil on canvas 194.0x259.0cm
© Makiko Kudo, 2007
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