アート・ラボ・トーキョー宮島の絵画世界には、クレーやミロ、モンドリアンやカンディンスキーといったモダン・ペインティングを彷彿とさせる要素と共に昭和の日本のローカルな光景を想起させるモチーフが点在し、それらが作家の素直でナイーブな感性を通過して奇妙にからまりあいつつ独自の混合物を創出している。
そこには作家が幼少期を過ごした高度経済成長期から今日にいたるまでの、日本社会の底流にひそむ潜在意識が見事なまでに映し出されており、まさに何のてらいも気負いもなく自然な形で"パリ―小田原"(小田原は作家の出身地)といった様相を呈している。
先ごろ生活の友社より「妙な絵物語」(月刊「美術の窓」に連載中の「絵と物語」を1冊にまとめたもの)を出版し、そのファンタジックな世界で知られる宮島だが、今回は、彼のより深部にある思考や感覚によって紡ぎだされる作品群を展示。本展タイトルの「浜松の鰻」は、新幹線や駅弁をモチーフにしたシリーズ作品のイメージに由来するものだが、ここに描かれる新幹線は「ひかり」や「こだま」号を連想させ、なつかしき"夢の超特急"という形容を思い起こさせる。
最近の宮島は消費生活における"食"をテーマにしたシリーズや、全員がゴヤの"マハ"のポーズをとる女子高生のシリーズなど、現在進行形の「平成」へと守備範囲を拡げているが、幼児期の記憶や夢をもとにした作品群では、「おかめ」と「ひょっとこ」が日常的な光景の中で同衾しているような妄想的な世界や、民芸的モチーフと現代生活の光景を宮島一流の方法でコンバインしたような情景を描き、"先進国"日本の、さりげない日常の中に噴出する土着性を静かに映し出してもいる。
菅間圭子(本展キュレーター)
レセプション・パーティー 7月5日(土)17:00より
作家:宮島永太良
まだコメントはありません