Gallery Terra Tokyo肥沼の描く重く厚塗りされた油彩画は、近年頻繁に世間を騒がせるようになった現代社会の病巣がおりなす事件から発想を得て描かれている。暗い基調に妙に明るい部分とで描かれている作品は、見るものを苦痛や幻滅に引き込み、不安定な感情を惹起させる。これら作品には、事件という他人事の<死>を自分の身近に置き換えて意識した時に感ずる恐怖、苦悩、絶望と言った作家の精神的内面・心情が顕著に示されている。加害者の引き起こした<事件>における被害者、それは例えば加害者の近親者(子や親、兄弟)、の<死>を強烈に意識することで、取り返しの付かない、奈落に墜ちて行くような、無限地獄の意識がこちらにも伝播して来る。そしてこの意識は、逆に強烈な<生>の意識へと繋がる。おどろおどろしい描写の中にも「危険な」感じが欠落しているのは、この<生>への強烈な意識がなせる業であり、肥沼はこの辺を実に上手く表現していると感じる。
オープニングレセプション: 2008年6月21日(土) 17:00-19:00
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