LIXIL ギャラリー 1 & 2松田直樹(Matsuda Naoki)さんの作品は、素材を独特に使ったインスタレーションです。隅田川の漂流物を掬い上げ、1個ずつパッキングしたものを並べて116mの川を表現した「流れの眺め」、木工ボンドで自分の指紋をとり、それを花びらに見立て、高さ1.7mの花樹をつくった「シモンバナ(世界にひとつだけの花)」、リング状にした髪の毛を編んだ長さ3mの「ヘア・ドレス」、タバコの吸殻で埋め尽くした「タバコ・ボード」や「タバコ・ロード」、空中から舞い落ちてくるほこりを集めてつくった2.5m四方の「ほこり猫」。いずれも見てびっくり、知ってびっくり、思わず大笑してしまうユーモラスな作品です。
その中でも出色は、ジャコメッティに憧れ、彼の彫刻の独特のマチエールをおびただしい量の納豆を自らの全身に貼り付けることで表現した「歩く男」や、土山に自らを頭部だけ出して埋め込んだ「土に自分」といったパフォーマンスです。
最近、松田さんは食材のことが頭から離れません。今展ではお米でつくった3m四方の家型やエプロン、食器などでインスタレーションが行われます。「なぜ食べられるのか、なぜ家があるのか、なぜ美術を続けてこられたのか」と自問しながら、ピンセットで一粒、一粒15キロのお米を5ケ月間かけて貼り付け、完成させます。
お米をモチーフやテーマにした数ある作品の中で、松田さんの作品からは笑いとともに、生きることへの神聖な祈りのようなものが伝わって来きます。
アーティスト・トーク 8月1日(金) 18:00~19:00