表参道画廊今年の秋の二人展は、油画・日本画・版画と三期にわたり開催致します。第一期は、芸大の油画を卒業し、制作活動も円熟期に入ったといえる船木美佳と清々しい作品を制作している好地匠のお二人の近作・新作をご紹介します。
船木美佳は、ロンドン大学時代に、展示空間に既存の壁面を摸したフェイク壁を制作したインスタレーション(1997)などを発表した。フェイクへの関心は、「ロンドンの、トウキョウの、ホッキョクの白いクマ」(2000)という映像、写真、立体を使ったインスタレーションへと向けられる。そこでは、神経症に患ったかのように一日中同じ箇所を行ったり来たりするホッキョクグマの不可思議な反復行動とその裏にある、祖国から拉致された北極クマの運命とフェイクの氷山だらけの現実を作品化した。2003年にはPS1にて、複数の動物園の6種類の動物たちの病的とも言える症状を四方に投影した映像インスタレーションを発表。同時にその観客たちもまた、知らず知らずに、展示空間の中を、反復しながら鑑賞することを意図した。鑑賞者を作品に引き込む作品から、ジグソーパズルを使った風景の再構築する作品などをへて、最近は昆虫や小動物をつかったコラージュを制作していたが、今回は、モノトーンの妖しい世界へ彷徨いこんだような平面作品を展示する。
一方、好地匠は、船木が芸大助手を務めていた時に在学中で、大学院時代から一貫して、「螺旋状のもの」と「反転」をテーマに制作を続けている。リンゴの皮むきから始まり、ジェットコースターなど、空間のねじれを表現していく。近作では、大手製紙会社からロール紙の提供を受け、さまざまな景色を一筆書きのように切り抜いていく大作を制作している。裏面の鮮やかな赤とのコントラストが美的な感覚を研ぎ澄ますように見え隠れする。作品全体のイメージと色彩のイメージが不思議なハーモニーを奏でる、楽しくきれいな作品となっている。
[画像:好地匠「縮れと緩み」(2009) 紙、275×430×60cm]
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