GALLERY SPEAK FORファッション誌や音楽誌で活躍するフォトグラファーでありながら、Spangle call Lilli line(SCLL)のギタリストとしても活動することが、笹原清明氏の独特な表現世界を特徴づけてきました。彼の写真は、常に洗練されたニュートラルスタンスの美学に貫かれています。無為にやり過ごすニュートラルではなく、静かに立ち止まり、対象ひとつずつと丁寧に対峙するニュートラル。それらの波動と自己のエモーションとの共鳴の起伏をデリケートに告白してみせます。かたやSCLLの、様々な音楽ソースが流れるようなレイヤードを織りなし、自然体でスタイリッシュに音響化された楽曲群は、映画や写真のピクトリアリスムを思わせます。
写真と音楽、2つの表現手法を並行して使い分ける感覚について、彼は「頭の中にある美しいものの漠然としたイメージを、写真や音符を使って具現化しているだけ」と言いますが、受けとめる側へ、目を「澄まし」耳を「こらす」ようなスリリングな愉しみを与えずにはいません。
本展は、SCLLの結成10周年記念ライブを収録したLIVE DVD「SCLL LIVE」のリリースを記念して開かれるもの。DVDには笹原氏の撮りおろし写真集が同梱されており、写真展としてそのオリジナルプリント、約30点が展示されます。「自分の眼が気持ちいいと感じたもの、美しいものの象徴として自然と浮かび上がってきたものを撮った」と笹原氏。森や海、女性や街など、詩的なモチーフたちをマットなモノクロームでまとめることで、彼の表現のエッセンス、イメージ作りの作法が、よりくっきりと蒸留されています。静寂から生まれる微かな揺らぎ、ざわめき、そしてまた訪れる凪(なぎ)の時へ。硬と軟、静と動をエディットすることで、見る側の脳内イメージの満ち引きを、音なき音で巧みに誘い出してみせるのです。
ギャラリーでの写真インスタレーションを背景に、Spangle call Lilli lineによるアコースティックライブも一度だけ開催。音と写真によるアンサンブル空間をお楽しみいただける絶好の機会です。
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