プンクトゥム本年よりコマーシャルギャラリーに完全リニューアルしたプンクトゥムでは、アートプロジェクターの仲世古佳伸氏をゲストキュレーターに迎え、「狂った一頁」という3回シリーズ企画展の最終展示を行います(1回目は昨年7月、2回目は昨年9月に開催)。
仲世古は、1998年に「ゲームの規則」展という展覧会を企画したことがあります。この展覧会は、前年の97年に起きた、当時14歳だった少年Aの神戸連続児童殺傷事件の時代背景をテーマにしたもので、少年Aが神戸新聞社に送りつけた、「さあゲームの始まりです」という書き出しの犯行声明文に、現実の事件を善悪の境界を反転させながら物語化してしまう、少年Aのアブナイ「創造力」に、美術と表現はどう対峙していくのかを探ろうとしたものでした。
今回の展覧会に、仲世古は去年美大の大学院を卒業したばかりの、3人の女性新人作家を選びました。柳瀬あかね(やなせ・あかね)、問谷明希(といや・あき)、栗原那津子(くりはら・なつこ)の3人です。3人共、神戸の少年Aと同年代であり、あの事件を同世代の「衝撃」として共有した過去を持つ、10年前の子供たちです。この企画は、急激なネット社会の到来の中で、現実とヴァーチャルが入り組む、ゲームの時代を経験してきた「酒鬼薔薇」世代の美術という観点においても、「ゲームの規則」展と、10年という時間の輪でつながっているのです。
本シリーズの最後に登場するアーティストは、栗原那津子です。昨年女子美術大学大学院美術科洋画研究領域を卒業した栗原は、これまでどこか頓狂なポーズをとる人物画や、正体を隠蔽した肖像画のシリーズ、そしてやや乱痴気めいた自虐的パフォーマンスを行うなど、さまざまな試みを行ってきました。今展では「庭」をテーマにした、大型サイズの油彩画の新作を数点展示します。未熟を纏う女性性と、標的のぼやけた不安感、日常と創意とが絡み合った寓意的絵画世界は、昨年の柳瀬や問谷にも共通する、この世代特有のテイストを感じさせます。今回の新作である「庭」の見える仮想の風景画の中に、栗原は暗影が相対化した、奇妙な発光体のようなものを、偶発的に画面に取り入れることで、何か理不尽な"物語の兆し"を描こうとしているように思えます。画家が描く空気感は、ときに時代の空気と被ることで、際どい緊張を誘発することがあります。栗原の絵画もまた、そのような事態の中で生み出されたものの一つなのかもしれません。
アーティスト・トーク:3月14日(土)17:00-18:00
司会進行:仲世古佳伸
ゲスト:O JUN氏(美術家)
料金:500円(オマケ付き)/先着順着席20名。ほか、立見10名程度
[画像: 「Martha」 oil on canvas 2008]
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