人形町Vision's書体を選択し、サイズを指定すれば印刷・表示用書体は画面に表示され、必要に応じてきれいなプリントアウトも簡単に手に入ります。コンピュータが日常生活に必要不可欠な機器となった現在、搭載されている書体は水や空気と同じようにその存在が意識されることはありません。
欧米の500年には到底およびませんが、今につながる欧米の近代的な活字書体製法が日本に導入されて140年ほどになります。その間金属活字・写植・デジタルフォントと文字生成方法は変わりましたが、書体の原型(これを種字とか原字と言います)は、どこかで誰かが原寸の大きさで彫刻したものか、あるいは紙の上に拡大した形で手書きされ墨入れされたものを使っていることだけは変わっていないのです。しかし、種字あるいは原字は書体制作企業の貴重財産として社内の奥深くに蔵されており公開されることはありませんでした。そのため書体を日常的に使用する書籍・雑誌の編集者や、ブックデザイナー、グラフィック・デザイナー、タイポグラファーであっても印刷・表示用書体の種字や原字を見た人はほとんどいません。
「原字ものがたり―デジタルフォントの原型」展は、現在使われているデジタルフォントの手書き原字そのものを日本で初めて公開展示するものです。
種字や手書き原字の精度は、彫師や書体設計者、書体デザイナーの時間をかけた修練でしか獲得できないものなのです。その精度がその書体の品質を左右することはいうまでもありません。本展示によって今お使いのデジタルフォントが、どのようなプロセスをへて画面上に再現されているのかを理解していただくきっかけとなれば嬉しく存じます。
座談会: 6月12日(土)午後4時
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