原美術館(東京)今秋、原美術館では、ソウル生まれの女性アーティスト、崔在銀(仮名:チェ・ジェウン)の、日本の美術館における初個展を開催致します。崔が本展で展開するのは、”森”。「アショカ王の5本の樹の森」という故事に想を得て、立体、写真、映像作品などで構成する新作のインスタレーションです。アショカ王は、仏教を守護したことで知られる古代インドの皇帝ですが、彼は、国民ひとりひとりが、5本の樹を植え、それを”森”として見守ることを提唱したと言われています。5本の樹とは、薬効のある樹、果実のなる樹、燃料になる樹、家を建てる樹、そして花を咲かせる樹。
ここでの<樹>のイメージは時間を横切る存在であり、永遠に向かって手を差し延べながらも衆生に限りない安らぎを施す深淵から沸き立つような慈悲の存在でもある。これは古代から今日に至るまで変わらない人間と樹との関係であり、もう一方ではその永遠たる長さにより、かえって世の中のすべてが時間の変化を通して変わっていく姿をみせてくれていることでもある。ボルヘスは、「人間のあらゆる精神的な体験は時間の体験に還元される」と言っている。<樹>はまさにそのような精神的な媒介者なのである。(作家によるコンセプトノートより)
森が内包する大いなる生命の流れと、樹と人間の悠久の交感に思いを巡らせながら、崔は館内に”森”を誕生させます。
[本展関連イベント](予約制)
□対談/崔在銀×南蔦宏(女子美術大学教授)9月18日(土)14:30-16:00
□講演会/中村桂子(JT生命誌研究館館長)「樹が教えてくれること-時間と関係」
10月31日(日)14:30-15:30
[画像:図版1「幻想の裏面」(2010年) カラー写真]
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