ニコンプラザ東京松山市から車で1時間、西日本最高峰石鎚山の麓に位置する愛媛県久万高原町は、平均標高800mと山深く、四国の中でも珍しく雪の降る地域にあたる。数年前までは、林業を主な産業として賑わっていたが、「平成の大合併」と呼ばれる5年前の町村合併や国産木材価格暴落に伴い、仕事が減り、土地離れをする住民は少なくない。
植林を施された久万の「山」は人間のエネルギーで作られた「山」である。ネイティブアメリカンの教えに「風景というのは、出来事なのだ」という言葉がある。その出来事は体感として伝わってくる。人々は山と共に暮らし、風景を作ってきたのだ。観光地だと旗をあげなくても、流れ星が流れ、ホタルが飛び交う。この土地に住む人にとっては当たり前の光の流れに、作者は何度も立ち止まった。
秋祭りやお正月に、帰る場所のあることの温かさは何にも代え難いものである。作者はその温かさが永劫であることを願ってやまない。写真に写される風景と写らなかった風景を土地の人に尋ねながら、土地の実相を知りたいと思っている。なお、展示する作品は久万高原町立美術館2009年度自主企画展「帰去来今」展(出展者:萱原里砂・笹岡啓子・高橋あい)のために制作および発表した作品をもとに制作したシリーズである。
8/28 (土) 13:00~14:00 ギャラリートーク開催
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