photographers’ gallery《CAPE》は、笹岡啓子が写真家としての活動の最初期から継続している「風景」のシリーズの最新作です。このシリーズは、2001年の自身初となる個展で《習作》として発表されて以来、《限界》、《観光》、《水域》とタイトルを微妙に変化させながら、自然と文化の境域をめぐって試行錯誤が続けられてきました。「釣り人の後を追えば、必ずどこかの磯に出られるものだ」と語るように笹岡は、日本各地の海岸線や稜線を丹念に歩き辿りながら撮影してきました。この体力勝負のような撮影行為は、けっして秘境というユートピアを探す旅ではありません。すでに写真イメージによって増幅された世界に生きる私たちにとって、誰も見たことがない場所やはじめて見るような場所がどこにもないことは、作者も十分に知っています。作者がこのシリーズに賭けたものは、なによりもまず写真に撮ってそれを見ることが「新しい体験」になるという、忍耐を要する確信にほかなりません。
本作《CAPE》の撮影地は、三浦半島の城ヶ島安房崎、房総半島の野島崎、積丹半島の神威岬などです。海路の時代、岬は「神先」であり、神が降りる場所とされていました。笹岡の写真は、現在も岬が自然と文化の境域のシーニュであることを私たちに示しています。
展示内容/Cプリント、1000 x 1000mm、5点
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