国立西洋美術館西洋美術館設立の礎となった松方コレクション。1910年代末から20年代にかけてヨーロッパでこのコレクションを築いたのが、川崎造船所(現・川崎重工業)の初代社長松方幸次郎でした。そして松方に蒐集のきっかけを与え、その指南役となったのが画家フランク・ブラングィン(1867-1956)。造船所や労働者を描いたブラングィンの絵画に魅せられた松方はその作品を次々と購入し、ついにはコレクションを公開するための美術館、「共楽美術館」のデザインをブラングィンに託します。関東大震災後の経済危機により美術館は建設されませんでしたが、実現すればそこにはブラングィンの作品が総合的に展覧されるはずでした。
ブラングィンはロイヤル・アカデミーで現存作家として初めての個展を開き、イギリスのみならずアメリカ(ニューヨーク、ロックフェラー・センター他)やカナダなどでさまざまな公共建築の壁画を手がけました。同時代の装飾芸術運動を背景に、絵画だけではなくカーペット、家具、陶磁器、版画や挿画本にも制作範囲を広げます。
本展は、松方との関わりを軸にブラングィン芸術を回顧する日本では初の展覧会で、8カ国約30カ所の美術館、コレクターが所蔵する約120点で構成されます。共楽美術館のデザイン画のほか、松方旧蔵のブラングィンの作品もできる限り再現。色彩あふれる画面構成、力強い描写力とともに、多分野に渡る才をお楽しみください。
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