東京都写真美術館今まで畠山の作品には、石灰岩や石炭といった鉱物資源に関わる工場や採掘現場、その跡地などを捉えたシリーズがあります。それらの光景は、普段あまり人が行かないような、見ることのない風景ですが、自然と人間の生活との関わりの接点や、その場と人間との時間のやりとりを感じさせる独特の描写がされています。それらの作品には壮大で、時には畏怖を感じさせる光景が写されています。
この3月11日に畠山は生まれ育った陸前高田市の、彼の記憶の中にあったであろう風景を失いました。本誌の表紙の作品は、その後に始められた陸前高田市の風景を捉えた作品です。ホテルのエレベータの扉に挟み込まれた松の葉や枝は津波によるものです。人間の抗うことのできない自然の力を見せつけられます。
今回は「Natural Stories ナチュラル・ストーリーズ」と題して、初期の作品から現在に至るまでの作品の中から、自然と人間との関わりを改めて俯瞰するような作品を主に構成します。これらの作品からは、美しく素晴らしい自然の魅力を感じるだけではなく、時には不条理で厳 しい光景を見ることができます。長い年月をかけて自然と人間がどのように共存し、対峙してきたかを改めて考えるきっかけになるでしょう。
本展は近年に制作された作品を中心に、日本では未発表のシリーズ、新作も紹介いたします。
[画像: 畠山直哉 「テリル#02607」(2009) 」
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