林のり子は、〈食〉研究工房の活動を通して、日本で最も早い時期からエコロジカルな問題意識と、持続可能な共生社会をつくるためのライフスタイルのモデルを提示してきました。また、ブナ帯文化=縄文文化に日本人のルーツ=基層文化を置いた独自の文化論は、自然と歴史に根ざした日常の豊かさ、楽しさについていつも生き生きとしたイメージを伝えてくれます。これは今でいうところのエコであり、スローライフであり、ロハス(Lifestyles of Health & Sustinability)であったなあ、と昨年末に復刊された著書『パテ屋の店先から かつおは皮がおいしい』 (アノニマ・スタジオ刊/『かつおは皮がおいしい』 ‘87晶文社刊の新装増補版)を手に取り、改めて感じます。今、時代がやっと林のり子に追いついた、そういえるのではないでしょうか。そこで馬喰町ART+EATでは、2008年夏に開催し、ご好評を博した「林のり子の夏季学校」に続き、この夏、その第2回目を開催致します。それは夏休みに学校に遊びに行ったときのような、わくわくした気持ちを呼び起こすふしぎな体験空間。林が長年取り組んできたテーマ「世界のブナ帯と食文化」に関する調査資料の一部や、それを基に作成したユニークな暦、地図の数々を壁面いっぱいに展開して、パテ屋のキッチンから世界を見わたす林独特のパノラマ的世界を立ち上げます。また、会期中の特別企画として「林のり子と若い友人たちとの対話―日常・自然現象・想像力をめぐって―」と題したトークセッションを開催。参加されたみなさまにもどんどん発言していただき、何げないわたしたちの日常を生み出している〈しくみ〉を深く探ってまいりたいと考えています。大きな転換期を迎えた今日の日本。この展覧会が、訪れた人ひとりひとりにとって発見と気づきの場となることを願って、「林のり子の夏季学校―第2回」8月19日開校です。
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