GALLERY SPEAK FOR頼りなげなロウソクの火が揺れるケーキ、パーティの断面。ハピネスの象徴のようなそのモチーフは、ふと距離感をとってまなざしを投げかける瞬間、人工的な色彩やデコレーション、奇妙なマナーによって支えられる空虚な側面をあらわにします。大槻素子氏が油彩で繰り返し描くケーキの絵は、そのような日常生活の表層に張りついた寂寥や静けさに満ちています。
彼女にとって絵は、まなざしの生態に寄り添うもの。事物をクリアに捉えるのではなく、思考や感情とひも付きになった目は「おおまかに、しかもゆっくり動きながら対象を捉えている、それを絵にしている」のだといいます。アブストラクト的な筆運び、クールなグレイッシュトーンの油彩は、そんな彼女の絵画観から派生しているのでしょう。ケーキや森の風景など、パーソナルな記憶から続く自分自身をとつとつと語りかけ続け、私たちの深層心理を呼び覚ましてみせます。
近年、個展やグループ展を重ねるたび、着実に注目度を高めている期待の若手画家のひとりですが、本展は彼女にとって1年ぶりの個展。まるでムービーカメラがパンしていくような動きのある言葉をタイトルに選びました。これまでの軌跡の紹介も兼ねて、アーカイブから自薦の油絵約30点あまりに、新作を加えて展示・販売いたします。また、ポストカードサイズで夥しい数を描いた「電線」シリーズを雑貨感覚で展開する、ユニークなディスプレイも登場いたします。
- ギャラリートーク
日時:2012年3月30日(金)18:30 ~ 19:00
[画像: 大槻素子 「party (03-11)」 (2011) oil on canvas ⓒMotoko Otsuki]
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