アート・ラボ・トーキョー撫子凛の絵には、必ず女子高生が登場する。自ら大和乙女画家と名乗り、その作風は、大和絵や浮世絵などの日本古典美術をいちど解体し、現代のイメージと混合し構築することにより、日本の土壌と風俗を改めて考察させるものとなっている。撫子の存在は、すでにアメリカで「Hokusai's daughter」とも呼ばれる。世界美術史を見るとき、江戸期の浮世絵は、そのオリジナリティにおいていまだに乗りこえ不可能なものとしてそこにある。撫子が芸術に向かう姿勢は、まさにグローバルなところから、江戸美術を逆照射する姿勢だといえよう。00年代、アニメ史における戦闘的美少女たちは、男権的な超合金ロボや、悪の力と闘っていたが、ここでは、女子VS.女子の構図が取られ、もはや日本男児は完全に観覧スタンドの側から、このシアトリカルでありスペクタクルな”ガーリーな巌流島”を見物する以外ないという点だろう。それはあたかもAKB48のセンター争奪戦を日本武道館において観戦するような現在のメタファーともとらえられる。または、なでしこジャパンの女 対 女の試合に、復興日本の希望を託すようなものか。いずれにしても、因縁的決戦の図が、超縮小した日本の男性脳と超肥大化した女性脳の現実を彷彿とさせる興味深い作品となっているのは間違いがない。
[画像: 撫子凛 「猛虎九尾狐図-因縁的決戦」 ( 2011 ) 1620×2606mm 木製パネル、キャンバス、アクリル、アルキド樹脂絵具]
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