銀座メゾンエルメス山口は1969年生まれ。東京藝術大学にて油画を専攻、同大学院修了後、日本美術史と大和絵の深い造詣と、精緻な技術をもとに、独特の想像力とユーモアを持って日常と空想が混ざり合うような作風を確立してきました。2001年には、第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞を受賞、近年では美術展のみならず、書籍や新聞挿絵、パブリックアートなど、活躍の幅を広げています。
東京広尾に生まれた山口は群馬県桐生市で育ったのち、大学入学にあたり再び東京での生活を始めました。東京というモチーフは、日常的な都市景観のおかしみにおいて際立っており、山口は在学中より幾度となく描き、作品としてきました。諧謔を織り交ぜつつ、甘美な哀愁に流されつつ、古の街歩きに似た風情で、今はなき、慣れ親しんだ風景を、色鮮やかにたどることで故郷への思慕を現してきたのでしょうか。
今回、新作を中心に構成されるフォーラムの展覧会は、洛中洛外図に想を得た作家を代表する俯瞰図のみならず、電柱のシリーズやノスタルジックな仕掛け小屋などによって立ち現れる東京の街並みです。明治に江戸に遡る東京という街が歴史の中で纏ってきた美意識にどこまでも忠実に、時間軸だけがデフォルメされたような「ずらし」の効いた風景に身を投じるとき、私たちは望郷への想いを共有します。とどまることなく時をとどめ、軽やかに超越してゆく山口の世界は、日常的でありながらもどこか遠くの出来事のようでもあります。
トウキョウリミックス、トキヲリミックス、トキオリミックス。
タイトルに含まれる「言葉あそび」に惑わされるように、見るものの感覚もミックス(撹拌)され、見慣れた東京の街が、過去、現在、未来、時が幾重にも重なった不思議な姿で浮かびあがります。
また3月20日までエルメスビル1階のウィンドウディスプレイは「みにくいアヒルの子」と題した山口晃デザインとなっております。
[画像: ©YAMAGUCHI Akira, Courtesy Mizuma Art Gallery ]
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