「トーヴェ・ヤンソン夏の家 - ムーミン物語とクルーヴ島の暮らし -」展

終了しました

トーヴェ・ヤンソン（1914-2001）は、世界 40 カ国で翻訳され、子どもから大人まで多くの人々に読まれているムーミン・トロールの物語の主人公「ムーミン」というキャラクターを生み出したフィンランドを代表する芸術家です。彼女は、主人公のムーミンとその家族や仲間に起きるたくさんの愉しくも可笑しいハプニングの中で、愛情深く、想いやりがあって、争いや生き物どうしの境界のないユートピアを全 9 巻にわたる物語にかけてつくりあげました。彼女の物語にはいつも美しい挿絵が小さく丁寧に描かれており、読む者のイメージを膨らませます。彼女は、パリに留学し新進の彫刻科であった父と、売れっ子挿絵画家の母という芸術家一家に生まれ、幼いころから絵画や芸術に親しみ、若いころは画家を目指していました。15 歳の時には、母のシグネが首席画家として活躍していたスウェーデン語系の政治風刺雑誌『ガルム』にも挿絵が掲載されています。ヤンソン一家のライフスタイルもユニークなもので、ムーミン一家がピクニックに出かけた様に、夏になると電気も水もガスもない島へ出かけ、ひと夏を過ごしていました。森や海、太陽と闇に、一人の人間として向かい合う暮らしの中で、彼女の創作イメージが創発されたのでしょう。人間主体の便利を求めた現代の都市開発の発展が行きついた末に環境問題があり、真の豊かさが問われる現代において、本当の幸せや豊かさとは何かを彼女が教えてくれるのではないでしょうか。トーヴェ・ヤンソンは、最愛の母を失ったあと、ムーミンは描かないと宣言し、小説を書き始めました。それは長い子ども時代の終焉であったとも言えます。その後、1964 年秋（50 歳）、親友のデザイナー、トゥリッキ・ピエティラとともに、フィンランド湾に浮かぶ岩の孤島クルーヴ島（ハル）に手作りの小屋を建て 1991 年（77 歳）までの毎夏を過ごしました。孤独は最高の贅沢だと知っていた、トーヴェ・ヤンソンの生き方と暮らしを見つめ、彼女の創作の足跡を追うことで、精神的な豊かさや便利な社会の足元を見つめ直す機会になればと考えます。

[画像: トーヴェが友人と建てたクルーヴ島の小屋]

[関連イベント]
基調講演・シンポジウム
日時: 7月12日(金) 18:30～20:30
会場: 竹中工務店東京本店2階 ABホール（東京都江東区新砂 1-1-1）
定員: 先着100名、参加無料
申込: HPの申込フォームよりお申込みください。
〈スケジュール〉
1. 基調講演
第1部「私とトーヴェ・ヤンソン」 18:30～19:00
講師: 冨原眞弓（哲学者、聖心女子大学哲学科教授）
第2部「トーヴェ・ヤンソンの自伝を出版して」 19：00 -19：45
講師: トゥーラ・カルヤライネン（『トーヴェ・ヤンソン』伝記著者 / 文筆家）
通訳: 安達まみ（翻訳家、聖心女子大学英文科教授）
2. シンポジウム「トーヴェ・ヤンソンからのメッセージを読み解く」 19:50～20:30
講師: 冨原眞弓（哲学者、聖心女子大学哲学科教授）、トゥーラ・カルヤライネン（『トーヴェ・ヤンソン』伝記著者 / 文筆家）
通訳: 安達まみ（翻訳家、聖心女子大学英文科教授）

ワークショップ「フィンランドの伝統装飾『ヒンメリ』を作ろう」
日時: 8月24日(土) 13:30～16:00
講師: ウッラ・キンヌネン（フィンランドセンター文化・コミュニケーション担当マネージャー）
会場: 竹中工務店東京本店 1階（東京都江東区新砂 1-1-1）
対象年齢: 中学生以上
定員: 20名
参加費: 500 円
申込: HPの申込フォームよりお申込みください。

同時開催子供向けワークショップ「『夏の家』お家型貯金箱を作ろう」
日時: 8月24日(土) 13:30～16:00
会場: 竹中工務店東京本店 1階（東京都江東区新砂 1-1-1）
対象年齢: 小学生以下
定員: 20名
参加費: 500円
申込: HPの申込フォームよりお申込みください。

フィンランドの暮らしの雑貨マーケット
会期中、フィンランドの暮らしに関する雑貨を販売するマーケットを開催致します。
開催予定日: 7月19日(金)、7月20日(土)、8月24日(土)

スケジュール

2013年7月12日(金)〜2013年9月30日(月)