日本民藝館日本絵画史上、素朴美の極みに達したといえる室町時代の絵巻「つきしま」(築島物語絵巻)と絵入本「かるかや」(サントリー美術館蔵)。従来これら室町期の説話画類は、絵画史においてそれほど重視される存在ではありませんでした。当館創設者の柳宗悦(1889~1961)は、早い時期にこれらに注目した一人です。自ら編集にあたった雑誌『工藝』六十三号(1938年)を「つきしま」の特集号とし、「こんなにも無法に幼稚に描」かれながら、「まがひもなく美しい」「画境」を持ったものとして、極めて高い評価を与えています。一方、絵入本「かるかや」は、柳とも親交があった国文学者の横山重(1896~1980)により、1950年代に見出されました。苅萱は、刈萱道心とその子石童丸の哀切極まりない物語として知られ、本展出品作は、近世に版本として刊行される以前の、現存最古の絵入本と推定されています。
本展では、素朴絵の極致を示すこの二つの絵画を軸に、お伽草子や記録絵巻、曽我物語屏風などの物語絵、十王図を始めとする仏教説話画など、柳宗悦蒐集による素朴表現の絵画を中心に、館蔵品を一堂に展観します。
[画像: つきしま(築島物語絵巻) 松王と法華経一万部を海に沈める光景を見守る浄海(しやうかい・平清盛) 室町時代 16世紀(部分・原寸)日本民藝館蔵]
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