藤沢恵「HUMAN NATURE×水底に触れる」

ギャラリーKingyo

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アーティスト

藤沢恵

石と水との自然の営みに、強く心惹かれます。石は均一に硬いものではなく、軟らかい成分との集合体とも言えます。水辺では水によって柔らかい部分から浸食され、より石らしさが剥き出しになるように思います。伊達冠石は、一般的に墓石に使用される御影石とは違い、固有の形を持って出土します。鉄分の含有量が多く、磨き上げた部分も、経年と共に茶褐色に変化します。人間の時間軸の中で変化を見てとれる稀有な石です。石彫のようなカーヴィングで進める素材は、マケットを作製し、平面出し、荒彫り…と段階を踏むのが普通です。しかし、伊達冠石のような強烈な「個」を持つ塊から造り手の欲する形を彫り出すことに対し、彫刻技法に沿って盲目的に進めているような、素材と向き合うことを無視しているような気持ち悪さを感じていました。原石固有の形を残しながら彫り進めることで、石と自分の関係性を常に天秤にかけながら制作し続けることが可能になると考えます。形に制限が生まれるため、一度鑿を入れた責任が最後までつきまといます。私の行為は「何かを彫る」のではなく、「石を彫る」ただそれだけなのかもしれません。また、この展示では水をテーマにした２主題が交錯します。同じ主題の別の作品が同じ空間に収まる時、私にとって新しい可能性が見える予感がします。

スケジュール

2013年6月12日(水)〜2013年6月22日(土)