Gallery Momo Ryogoku小野は漁業を生業とする家に生まれ育ち、祖父の海での遭難による深い悲しみと、その際の父親の生還による強さに直面し、命への慈しみと強さを同時に体験する事になりました。そして先の震災では、両親の命に別条はなかったものの、福島の漁業は壊滅的な打撃を受け、大きな衝撃を経て個展を開催、損保ジャパン美術賞への受賞とつながったことは周知のことです。そうした経験を直接的に作品に結びつけることはありませんが、海に生きるものたちを描くとき、そこに透徹した命への慈しみを見ることが出来ます。今展ではそうした形象を引き継ぎながら、「人それぞれの内面と社会面の境界線で、その場所から覗きこんだ内面風景を表現したい」と「ドコニモナイコノバショカラ」と題したテーマでの発表となります。人との関係性の中で起こる様々な感情は、それ自体自らが作った心の揺れであるにも関わらず面白いように翻弄されてしまいます。そんな自分と静かに向き合うことで 表現したい世界が変化してきたという小野ですが、その変化に身を任せながら制作し、自身の弱さが表出してしまったと危惧しながらも、作家自身の本質的な素として表現できたと言います。
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