セイコーハウスホール春風駘蕩たる大人─。濃淡や明暗で自由に表現できる墨で、ほのぼのした題材を大らかに表現する村上豊氏。創刊から50年以上も「小説現代」の表紙を手がけ、数多くの新聞や雑誌の挿絵に携わってきた氏の作品のファンも多くいらっしゃることでしょう。そんなファン待望の、和光ホールでは4年ぶり6度目となる今展のテーマは「楽(らく)」。「人生、楽しい方がいいでしょう?私は眉間にしわを寄せて深刻に悩むということが一番いやなんです。私の絵に堅苦しいものは一つもありません。観た方が楽しい気持ちになるような絵ばかりです」といかにも楽しそうにおっしゃいます。その言葉通り、鬼が描かれていても、その表情はユーモラス。「鬼でも怖い顔にしたくはないのです。どんな題材に対しても愛を持って見ていただけたら嬉しいです」。24歳の時に、司馬遼太郎の連載小説の挿絵画家としてデビューした村上氏は、常に実践の場で学びながら、独自の世界を築いてきました。「私はどんなことにもこだわりません。絵の題材でも素材でも、こうでなければならないという決まりはないのです。絵も人生も自由でありたいと思っています」。今展では、すべて新作の墨彩画と油彩画など計80点の展観になります。「静謐で豊かな雰囲気が漂う和光ホールは、私にとって居心地がよい場。そんな空間でぜひ、私の作品に親しみ、みなさまに笑顔になっていただければと願っています」。
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