府中市美術館26歳でパリに渡った藤田嗣治(1886-1968)は、試行錯誤の末に生み出した独自の画風で一躍パリの寵児となります。製法を秘して語らなかった乳白色に輝く下地、面相筆で引かれた流麗な墨の線。日本的で繊細な美意識と巧みな技術が、人々を魅了したのです。そして、その個性を引き立てたのは、裸婦や自画像といった西洋の古典的な画題でした。藤田は西洋絵画の伝統に正面から向き合うことで、ヨーロッパの人々に真に認められることを目指したのです。それは「東と西を結ぶ絵画」と呼ぶに相応しいものでしょう。しかし一方で、二つの世界を背負った彼は、両者に引き裂かれるような苦しみも味わいます。パリでの評価を重ねるほどに大きくなる、嫉妬と羨望の入り混じった日本画壇からの反応。さらに、戦後は戦争画制作の責任を問われ、追われるように日本を去ります。そして、フランスでキリスト教に改宗し、晩年は礼拝堂の建設と壁画制作に没頭しました。祖国との間に生まれた深い傷を癒すような祈りにも似た創作の日々を重ね、81歳で没します。
このたびの展覧会では、東西文化の融合と対立に注目しながら藤田の創作の歩みをたどります。華やかな成功に彩られながら、苦しみや葛藤にも満ちた彼の生涯ですが、作品のひとつひとつからは「描くこと」に真摯に向き合った画家の姿が見えてきます。近年ランス市に寄贈された未公開作品など、国内外の代表作により藤田の作品世界の全貌を紹介します。通常よりも会場規模を拡大し、大作を含むおよそ110点をご覧いただきます。
[関連イベント]
「20分スライドレクチャー」
日時: 10月2日(日)、10月9日(日)、10月16日(日)、11月5日(土)、11月19日(土)、11月27日(日)、12月11日(日)各日14:00~と15:00~
会場: 当館講座室
参加費: 無料
トークイベント 「壁画から戦争画へ:藤田の大画面作品の意味するもの」
日時: 10月23日(日)14:00~
講師: 深谷克典(名古屋市美術館副館長)
会場: 当館講座室
参加費: 無料
トークイベント 「藤田嗣治の描こうとしたもの―モチーフをめぐって」
日時: 11月13日(日)14:00~
講師: 音ゆみ子(当館学芸員)
会場: 当館講座室
参加費: 無料
映画「FOUJITA」上映会(ブルーレイ上映)
日時: 10月30日(日)14:00~
会場: 府中市生涯学習センター講堂
監督・脚本: 小栗康平、主演: オダギリジョー
参加費: 無料
定員: 250名(要申し込み)
※お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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