PGIPGIではアメリカの写真家、レイ・メツカーの展覧会「Informed by Light 1957-1968」を開催いたします。日本国内では1992年写大ギャラリーでの個展以来24年ぶりの個展となります。1931年、ミルウォーキーに生まれ、モホリ=ナジ・ラースローによって設立され「ニューバウハウス」と呼ばれたシカゴ・インスティテュート・オブ・デザイン(以下ID)でハリー・キャラハンやアーロン・シスキンドに学びました。(1956-1959)実験的な作風でもよく知られ、半世紀に及ぶキャリアの中で、表現方法、技法など白黒写真の潜在的な可能性を熱心に探求した、アメリカを代表する写真家の一人です。多重露光やジャクスタポセ、ソラリゼーションといった手法を用いる作品制作のスタイルは、写真言語の変換と拡張を探求する彼の写真表現の本質であると言えます。
ID出身の写真家に共通する光と影のコントラストを効果的に使った構成力は、他に類を見ない強さを持っています。
「写真をユニークな固有の特性を持った道具と考え、伝達手段の性格がその美学を決定しなければならないという確信を持っていた*」モホリ=ナジ・ラースローの実験的な考え方と、キャラハンとシスキンドが進めた「主観性が写真のグラフィック的客観性の根底にある*」という考えを結びつけたのがメツカーであり、IDにおける教育の中でメツカーが獲得したのは「直感と形式と自律的な視覚研究とを同時に評価する鑑賞眼だったと言われている。」(*日本写真芸術学会誌第13巻・第1号「レイK.メッカーの作品における様式の変換と新しいイメージ」藤井耿)
メツカーは実験的な画面構成にエモーショナルな共鳴もイメージに染み込ませていきました。例えば、強い太陽の光と、闇のような壁に二分される路上の写真は、希望と畏怖を想起させます。こうした作品制作を通して常に写真というメディアの最も忠実な解釈者であろうとし、半世紀以上も素晴らしい作品を作り続けたのは、「実験と主観」を行き来する脅威的なバランス感覚を持っていたからといえるでしょう。
本展では、代表作であるコンポジットやサンドクリーチャーのシリーズを含めて、1957年、ID卒業前後のシカゴでの初期作品から1968年にかけての作品を通して展示し、その非凡な光の表現をご覧いただきます。
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