photographers’ gallery田代一倫は、2010年より断続的に<椿の街>シリーズを発表してきました。自身の故郷である福岡を 含む、九州北部と韓国南部を撮影対象としたこのシリーズでは、椿の花の分布のように、広く緩やか な枠組みの中で撮影した写真が発表されてきました。本展で発表される写真は、<椿の街>シリーズ の中、韓国の離島で撮影されたものです。タイトルの「ウルルンド」とは、撮影地である울릉도(日本名 鬱陵島)のハングルを読んだものです。 ウルルンドは、本土から約140km離れた日本海に浮かぶ総面積が72km²ほどの火山島で、その距離 や荒れた海路などにより、島への交通が何日間も閉ざされることが珍しくありません。また、倭寇と言 われる海賊の拠点となったことを契機として、15世紀初頭から約450年の間、島に住むことを禁じら れていた歴史もあります。さらに、この島は、その所有をめぐって日韓で様々な議論がなされている 独島(竹島)への唯一の航路を持つ、国境の島としても知られています。約一万の島民が暮らすウルルンドを、田代は2017年の2月、5月と2回訪れました。「いつも通り、出 会った人に声をかけて撮影した」と自身が言うように、展示会場には、島に暮らす人々の写真が並び ます。その写真を見ていると、写された人々の立ち居振る舞いや島の気候風土、そして、さまざまな 差異を含んだ近しさが感じられます。
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