KANA KAWANISHI GALLERYKANA KAWANISHI GALLERYは、2019年10月26日(土曜日)より片岡純也+岩竹理恵個展『大理石の上での電球と送風機の必然の回転のように』を開催いたします。本展は、片岡・岩竹の作品を弊廊で発表する初めての機会となります。片岡純也+岩竹理恵は、2013年にパリでのレジデンスを機に2人の創作を組み合わせたインスタレーションの発表を始め、2019年は「Bloc Projects」(シェフィールド、イギリス)や「Ostrale Biennale 019」(ドレスデン、ドイツ)に招聘されるなど、国内外の注目を集めるアーティストデュオ。普段見慣れた日用品、例えば電球や食器や本などの物体に別のエネルギーを加え、本来の役割とは異なる動きを見せるキネティックな作品や、多様な素材や断片を組み合わせて視覚的にも時間と空間の複数の階層を行き来する繊細なコラージュ作品によって、その世界観を表現しています。本展タイトル「大理石の上での電球と送風機の必然の回転のように」は、ロートレアモン伯爵(イジドール・デュカス/仏/1846-1870)の詩にある「解剖台の上でのミシンと蝙蝠傘の偶然の出会いのように」を参照していますが、シュルレアリストのアーティストらに頻々に参照されたこの言葉は、「あるものを本来あるコンテクストから別の場所へ移し、異和を生じさせる」というデペイズマンの概念を象徴するものとして多用されてきました。ジョルジョ・デ・キリコ、ルネ・マグリット、サルバドール・ダリ、マン・レイ、マルセル・デュシャンなどのアーティストもロートレアモンのこの言葉を直接的に扱った作品を制作し、異和によって新しさを生起させてきましたが、片岡・岩竹の作品がひと際際立つのは、異和が引き起こされているにも関わらず、その作品群はあくまでニュートラルな一体感を醸し出している点に尽きるでしょう。立体作品では、電球がくるりと回転する動きや、ナマコの表面の凹凸をなぞった運動など、その物体に備わっている性質とは認知されてこなかった特性が起用されながらも、キネティックな運動がごく自然に日常に再配置されます。コラージュ作品も、版や手作業などのレイヤーの奥行を湛えながら空間や時間の次元を超えて再配置された各モチーフはごく自然に一枚の美しい平面作品として存在し、特有の佇まいで鑑賞者の好奇心をくすぐり続けます。新作を含めながら、KANA KAWANISHI GALLERYでの初個展となる貴重な機会を、是非お見逃しなくご高覧いただけましたら幸いです。