東京藝術大学 大学美術館・陳列館アーティスト
乾真裕子、遠藤麻衣、菅実花、金仁淑、鴻池朋子、小林エリカ、スプツニ子!、副島しのぶ、百瀬文、山城知佳子、ユゥキユキ
身体、ジェンダー、ジェネレーション、国、政治、環境、時代。自分と他者の間にあるさまざまな違いを尊重し、物理的・心理的距離を超越して異なるものたちが出会い、交流し、理解しあうことはできるのでしょうか。本展では、11人の女性アーティストたちの作品を通してその可能性を探ります。
各アーティストの制作へのアプローチはさまざまで、テーマは「女性性」に限ったものではありません。しかし本展では、女性アーティストによる卓越した表現を通して浮かび上がる、ユニークなヴィジョンに注目したいと考えました。
その特徴のひとつとして「境界」の曖昧さと揺らぎの表現に着目しました。単純に「男性と女性」ではなくLGBTQを含めた多様な性があり、セクシュアリティへの関わりも人によってさまざまであることが明確になった今、また人間中心主義を超えた環境と共存が意識されるようになった現代において、二項対立ではない関係の重要性をアーティストは鋭敏に感じ取っています。男と女、人間と非人間、過去の人物や家族を独自の観点からみつめなおし、性や種、場所や時代を超越した新たな関係性を探求します。
境界を超える彼女たちの表現を通して、既存の制度や価値観の不自由さもまた見えてきます。世間の枠組みではなく、自らの身体と思考、体験を通して発せられるアーティストたちの表現からは、切実な思いや痛み、希望を乗せたそれぞれの「歌」が聞こえてくるようです。その声に耳を傾けながら、未来へと向かうオルタナティブな世界を想像することができるのではないでしょうか。
また、コロナウイルスの影響でリアルに会うことが難しい中、オンラインミーティングを通して、女性として日々感じてきた疑問や体験について参加アーティストたちと議論を重ねてきました。結婚や家族制度、ジェンダーとテクノロジーの関係、無痛分娩や卵子凍結に至るまで、個々のアーティストたちが語る言葉を冊子やイベントで紹介していく予定です。
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