セイコーハウスホール「風化」と「再生」、「儚さ」と「力強さ」、そして「過去」と「現在」。相反する事柄が、透明感溢れる線描と色彩の中、不思議なバランスを保ちながら佇んでいる……。
版画の新たな可能性を切り開く、気鋭のアーティスト・入江明日香さんによる、和光では初めての個展が開催されます。
制作のベースとなるのは銅版画。厚さや風合の異なる数種類の和紙に銅版画をコラージュし、水彩絵具や墨、胡粉などで着彩して仕上げる「ミクストメディア」という独特のスタイルで表現しています。
作品制作の転機となったのが、2012年から1年間留学したパリでのできごとだったと語る入江さん。
「異国の地・パリで観た浮世絵展で、日本の伝統版画の繊細な色彩の素晴らしさに心を打たれました。そのことがきっかけで、日本人の作家としての自分を意識するようになり、日本の文化を見つめ直し、その精神を作品に取り入れていきたいと思うようになりました。和光ホールでは初めての個展ですが、とてもワクワクしています。これを機に新たな作風を追求していきたいと思っています」とおっしゃいます。
今展では、思い出の地であるパリの街並みを眼下に、駿馬や精悍な狼たちが天翔けていく幻想的な二曲屏風の大作をはじめ、森羅万象が溶け合いながら繊細かつ力強く躍動する、十二支を描いた額装の連作を中心とした展観です。東洋と西洋、過去と現在を繋いでいく、生きとし生けるものたちが奏であう、生命の息吹が感じられる渾身の20余点が出品されます。
陽ざしも優しく感じられるこの季節、和光ホールでしばし時を忘れて、夢と現(うつつ)のあわいに心を遊ばせてはいかがでしょうか。
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