宇賀神拓也「JOMON - SPIRAL」

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アーティスト

宇賀神拓也

宇賀神拓也写真展「JOMON - SPIRAL」はカラーネガプリント20点によるもので、作者が住む長野県朝日村で出土した縄文土器に見られる螺旋紋様を接写した作品を展示する。

数年前、自らが住む村で建設されるバイパス工事に伴って行われた発掘調査をきっかけに、かつて同じ土地に生きた人々が土器に残した螺旋紋様に強く魅かれるようになった作者は、大判フィルムカメラを使って紋様の接写を続けてきた。

縄文時代中期、今の長野県一帯には多くの人々が狩猟を中心に暮らしながら、煮炊きに使用するための土器を数多く制作していた。この地域の縄文文化は今から5000年前ごろに発展のピークを迎えたと言われているが、その頃作られた土器は調理器具という本来の目的から逸脱するかのように単なる装飾を越え、思うがままキャンバスに絵を描くような自由なやり方で紋様が施されるようになる。そしてこの地域に特徴的な螺旋紋様もまた、当時生きた人々の心意が投影されたかのように様々なかたちで土器に刻まれている。

その「意味」を問いかけても沈黙に伏したままの螺旋の渦を目の前にした時、大きく異なる環境を生きる私たちとの間に流れた途方もない時間に気づかされると同時に、巡り巡った時のつながりの果てに縄文の人々の5000年後の子孫として生きている「今」という時間を体験することとなるだろう。

なお、本展示の作品は作者自身の暗室でプリントしたもので、額も自ら作成したものになる。

スケジュール

2021年9月18日(土)〜2021年9月26日(日)